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トイレ つまり 直し方があなたを待っている

バブル時代に融資額を増やすには、甘い査定のほうが銀行にとって都合がよかったという面がありますが、それはそのまま不良債権の額に変わったわけですからね。
それから、複数の不動産鑑定会社を使う理由は、地域によっては詳しくない鑑定業者もいますし、個人の住宅の鑑定は得意でも、商業ビルは鑑定したことがないといった、不動産の内容による得手不得手もありますが、結局のところ、依頼する金融機関が自由に価格を指定できる。 融通のきく不動産鑑定会社”がいくつかあると便利だったのでしょう。
不動産の評価額などどうにでもなると思っていた金融機関一やはり不動産の鑑定価格は金融機関の胸先三寸だったのですか? 金融機関は不動産の評価額など、どのようにでもなると思っていたようです。

これは私の実体験ですが、ある金融機関は、依頼物件といっしょに「不動産鑑定評価額についての依頼」をしてきました。 何ですか、その「不動産鑑定評価額についての依頼」というのは?いくらいくらに鑑定額をしろという銀行からの命令では?
たとえば、「鑑定を依頼した物件が時価一億円くらいということは銀行でも推測できる。 最近の地価の動きを見ていると、数年で地価は倍くらいに上昇しており、住宅ローンの掛け目を一〇〇%として融資しても回収に不安はない(注一通常の住宅ローンの掛け目は七○%程度)。
さて、この融資申込者は大変ゴルフ好きの経営者である。 したがって、入会を希望するゴルフ場の会員権二〇〇〇万円の購入代金を当該担保物件で融資したい。
さらに申込人は株で連戦連勝である。 ゆえに株への投資資金三〇〇〇万円を同じ不動産を担保に融資したい。
したがって融資額は一億円十二〇〇〇万円十三〇〇〇万円=一億五〇〇〇万円になる。 当銀行の規則では、不動産担保料の掛け目は七〇%ということになっているので、逆算して不動産鑑定評価額は二億二〇〇〇万円見当にしてほしい」というのが、依頼の要点です。
ひどいですね。 要するに「一億五〇〇〇万円融資する」というのが最初に決まっていて、それを銀行内の審査を通すために、水増しした鑑定書を書けと言っているということでしょう。
もちかけられてびっくりしました。 その土地の評価額はどのように計算しても二億二〇〇〇万円なんて数字は出てこないのです。
結局、断ることにしました。 「おまえのところだけが不動産鑑定会社ではない。

もっとよい鑑定会社はいくらでもある」と。 実際、鑑定に手心を加えるのを止めていたので、金融機関からの依頼が減って、売上額が減ってしまいましたよ。
金融機関がいくら貸したいかによって決められていた不動産価格浅野「よい鑑定会社」というのは、金融機関のいうとおりの鑑定書をつくってくれる会社のことでしょう。 実際のところ、そういう依頼を喜んで受けている鑑定士もいました。
鑑定料は、不動産評価額に対する一定の割合とするのが当時は一般的でした。 だから評価額が高いほど、受け取る鑑定料金も高くなるのです。
そうした水増し鑑定をすることによって、どんな影響が出るのですか。 さっきの一億円相当の不動産を、二億二〇〇〇万円と鑑定したとしましょう。
金融機関は、鑑定の結果を見て、売主と買主に二億二〇〇〇万円の売買契約書にサインさせます。 そうすると、その二億二〇〇〇万円という価格が、「取引事例の価格」として独り歩きする可能性があります。
たとえば、その土地の隣の不動産の評価依頼を受けた鑑定士は、隣接する土地が二億二〇〇〇万円であれば、その価格を、依頼物件の鑑定評価額に反映させるでしょ。 そうしてバブルが加速していったわけですね。
バブル当時の不動産の価格は、需要と供給によって決まるのではなく、金融機関が一体いくら融資したいのかによって決まっていたということです。 こんなことは、経済理論とかで解釈できるわけがありません。
「土地神話」なんていわれていますが、その内実は一部の人問がつくったものに過ぎなかった、ということですね。 現実を冷静に見る人ほど左遷させられた時代私は、金融機関に勤めている友人たちに、「どうもこれはおかしいぞ」と言いました。
バブルの前までは、金融機関が自分の貸したい金額から逆算して、評価額を出せなどということはありませんでしたから。 どうにもこれはおかしいから、不動産担保金融は止めたほうがいいと、仲問たちに言いました。
そうすると彼らが言うのです。 「そんなことを会社で言ったら、営業のできないやつという熔印を押されて、左遷させられてしまう」つて。
金融機関の内部にいると、案外正確な状況がつかめないものですよ。 私は実際に左遷させられた人を知っています。

大手信託銀行の支店長です。 この人はバブルの状況を冷静に判断し、お話のような無茶苦茶な貸し出しを行なっていませんでした。
しかし、日銀から、「貸し出しを控えるとは何たることか」という指導を受け、この支店長は左遷されました。 そんな経緯もあって、後任者はどんどん貸し出したために、バブル崩壊後、この信託銀行は莫大な不良債権を抱えることになりました。
銀行のなかにも冷静な人はいたのですね。 実際、金融機関の希望融資額によってどんどん土地の値段が上がっていく状況は明らかに異常でした。
私は、金融機関の役員やマスコミにその実態を伝えて、「地価は必ず下がる」、「地価は五年で今の半値になる」と言い続けてきました。 ですが、世はバブルの真っ最中です。
私の見通しを聞いた友人たちは、みんな困っていました。 土地神話の完全崩壊が呼び込んだものの、しかしPさんの予測通り、バブル経済は崩壊しました。
バブル経済崩壊の発端は一九九〇年一月。 これまでの常識では「半値八掛け三割引以下にはならない」とされていた、市場の経験数値を吹き飛ばす、株式の大暴落に始まり、資産価格の大崩落とともに、崩壊の運命をたどったわけです。
地価の急激な下落で、銀行による過剰融資は、大手流通、建設、不動産をはじめ、バブル時に本社ビルを建てた企業などに大量の不良資産を発生させました。 このため生じた資産デフレは、借り手・貸し手双方のバランスシートに大きな打撃を与え、金融システム不安を引き起こしました。

金融機関はバブル経済による地価暴騰を背景に、土地担保さえあれば無理矢理にでも融資してきたのです。 それが、地価が下がり、融資先への債権はあっという間に不良化し、銀行経営を圧迫していきました。
地方銀行、信用金庫、信用組合と、あらゆる金融機関がこの不良債権にあえぎ、一流銀行も危機に瀕しています。 バブル初期に小さな不良債権を抱えた三菱銀行が、その後の融資を手控えたために、バブル崩壊後に莫大な不良債権を抱えずにすんだ。
そのために優良銀行となったというのは有名な話ですが。 ですが、バブル崩壊直後は、政府は、単なる景気循環の枠内での景気対策でいずれ終焉すると考えていた節があります。
大蔵省(現・財務省)や日銀の役人は「地価は再び上がる」「土地が下がったままのはずがない」と土地神話を信じ込んでいたのではないでしょうか。 だから、これといつた対策を打たなかったのです。
ですが実際には、地価の下落はまったく止まりませんでした。 東京圏の平均地価で見ると、バブル崩壊後の一九九二年から一四年間連続で下落しています。

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